About MANIMANI

MANIMANI 創刊号について


15世紀、ドイツのグーテンベルクが開発した活版印刷術は、当時の人たちの情報伝播速度を飛躍的に向上させた。その結果、社会のごく一部の階層にしか読まれることのなかった書物は大衆にも普及し、メディアが活性化され、ライフスタイルに劇的な変化をもたらした。

それから6世紀がたった現在、僕たちは15世紀の人たちと同様、大きな変化を求められている。書物のみならず、映画、放送、音楽といったコンテンツのデジタル化が急速に進んでいるからだ。あらゆる情報がデジタル化してコピー可能になれば、今は物質性により、ある種の価値を担保されているものも、明日は全く無価値なものになりえる。広大なネットの海で、価値と無価値の間を振幅する情報の波と、これからどのように関わるべきか?
本誌はこうしたデジタル時代最潮流の過渡期に創刊される。

ところで、昨今は〝CD不況〟だ。それを実感されている方も少なくないだろう。そんな中、売上げ好調なジャンルがあるのをご存知だろうか?そのジャンルとは〝アイドル〟である。
2005年、会えるアイドルとして秋葉原のドン・キホーテを拠点とし、ほぼ毎日のようにライブをしてきたAKB48は、シングル『Beginner』で初回盤に〝握手券〟を封入したこともあり、グループ初のミリオンセラーを達成した。
このエポックメーキングの本質は、一部で揶揄されているAKB商法の是非を問うことではない。なぜヲタクは〝握手〟を、すなわち現場を求めたのか?この一点にのみ注目すべきだろう。前記した〝CD不況〟の一因は、複製がネットに氾濫したことだといわれている。もし、そうであるならば、ヲタクは複製不能な事象、すなわちライブや握手会(両方コピー不能な体験)に、価値を置くのは至極当然であり、他方では、コミュニケーションに不可欠なものは何か?を問うているようにも感じる。

本誌はAKB48の成功をキッカケに、新参古参を巻き込んでの〝現場重視型アイドルカルチャー〟の現状を切り口として、現場でアイドルと〝会う〟ことにより双方に何が生まれているのか?について考察していきたい。アイドルとヲタクの決して一線を越えることのできない、ストイックなまでに純化された究極の恋愛コミュニケーション!

題して『会う論。』

語感のニュアンスが、初めて出会う時のモジモジ感(不器用さ)を表しているようで、僕は気に入っている。
限られたページ数と取材時間により、考察が消化不良のまま終わるかもしれない。そんな時は、気になるアイドルを見つけ直接〝会う〟ことをお勧めする。

以上を踏まえると、創刊号に〝アイドル〟を特集する決断をしたのは、これからのデジタル時代を迎えるにあたり、必然だったとはいえないだろうか。

MANI MANI 編集長

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